抗菌薬(抗生物質、抗生剤)の正しい使い方

抗菌薬は、かぜなどウイルスが原因の場合は効果がありません。
また、症状がよくなったからといって途中でやめてしまうと、治りきらず、治るまでに余計に時間がかかってしまうこともあります。
抗菌薬(抗生物質、抗生剤)とは
細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のことを指します。抗生物質や抗生剤と言われることもあります。
抗菌薬は細菌の構造や増えていく仕組みのどこかを邪魔して効果を発揮します。
細菌の仕組みを利用した薬ですので、細菌以外の病原体(ウイルスや真菌など)が原因となる感染症には効果を期待できません。
感染症とは
感染症とは、病原体が体に侵入して、症状が出る病気のことをいいます。病原体は大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などに分類されます。
細菌とウイルスの違い
細菌
大きさは0.001mm程度
自分の仕組みの中で分裂して増えます
■ヒトに病気を起こすことがある細菌
大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌など
■細菌による病気
肺炎、中耳炎、膀胱炎、結核など

ウイルス
大きさは0.00001mm程度
他の生物の細胞を利用して増えます
■ヒトに病気を起こすことがあるウイルス
インフルエンザウイルス、ノロウイルス、ライノウイルス、RSウイルスなど
■ウイルスによる病気
かぜ、インフルエンザ、風疹など

細菌による感染症といってもさまざまな種類があり、もともとの体の状態によってどのような菌が悪さをするかが異なってきます。医師は、どこにおきた感染症なのか、どの菌によるものなのかなどから判断して抗菌薬を処方します。医師が不必要と考えたら、抗菌薬を処方されないこともあります。
どんなに注意しても抗菌薬を使うと薬剤耐性菌が生じる可能性がありますので、抗菌薬を使う機会を本当に必要なときだけに絞り込み、必要のないときは使わないことが大切です。
下痢などの副作用が出て、飲み続けることをためらうような場合には、医師や薬剤師に相談しましょう。
通常のかぜはウイルスが原因ですので抗菌薬は効きません。

薬剤耐性菌が増えると・・・
- 効果が見込める抗菌薬の種類が少なくなり、感染症が治りにくくなります。
- 抗菌薬が効かないと、感染症の予防や治療が難しくなり、さまざまな医療を安全に行えなくなります。

薬剤耐性菌とは
薬剤耐性菌とは、抗菌薬が効かない、もしくは効きにくくなるなど、抗菌薬に耐性を持った細菌のことを指します。抗菌薬への耐性は、細菌が本来もっていたり、他の細菌から譲り受けたり、抗菌薬投与により誘導されたりして獲得します。
人間には非常に数多くの細菌が住み着いており、多数派の細菌には、抗菌薬が効きます。抗菌薬投与により大多数の細菌がやられてしまうと、抗菌薬に対する耐性を得ていた少数派の細菌は、のびのびとどんどん増えることができるようになります。
薬剤耐性菌を増やさないために

必要のない抗菌薬を求めないようにしましょう。
かぜの原因のほとんどはウイルスです。抗菌薬はウイルスではなく細菌に効く薬です。
かぜに抗菌薬を処方してもらうことは効果がありません。

症状の有無に関わらず、医師から指示された抗菌薬はきちんと飲み切りましょう。
症状がよくなったからといって途中で抗菌薬を飲むのをやめてしまうと、抗菌薬が中途半端に効いた状態になります。細菌が完全に死滅せず、病原菌が抗菌薬に徐々に慣れてしまい、生かさず殺さずの状態を続けることによって、細菌が耐性を獲得しやすい環境を整えてしまいます。
また、症状が良くなったとしても体内に細菌が残っていることがあり、治療が終わらないうちに抗菌薬の投与をやめてしまうと、きちんと治らずに感染症をぶり返してしまう恐れが高まります。完全に体内から原因となった細菌がいなくなるまで、きちんと服用する必要があります。

処方された抗菌薬をとっておいて別の機会に飲んだり、他の人の抗菌薬をもらったりあげたりしてはいけません。
医師はその人の状態に応じて抗菌薬を処方しています。抗菌薬を残しておいても、次も効くとは限りません。思わぬ副作用が出る危険がありますし、保管状況による変化も心配です。
困ったこと、わからないことは医師や薬剤師に相談しましょう。

お子さまがいる方が抗菌薬を使うときに気をつけること
子どもは感染症に対する抵抗力が弱いため、よくかぜをひきます。
かぜやインフルエンザには抗菌薬は効かないため、抗菌薬の不適切な使用は薬剤耐性菌の増加につながります。
子どものかぜ対策から薬剤耐性を予防しましょう。
自分の体調が悪くなったときに、子どもにうつさないよう、自己判断でとっておいた抗菌薬を飲むことは、薬剤耐性菌の増加につながります。また、子どもに処方された抗菌薬を自己判断で飲むと、薬剤耐性菌の増加の恐れだけではなく、子どもの感染症がきちんと治らなくなってしまう恐れが高まります。抗菌薬は、症状がなくなっても医師から指示されたとおりに飲み切って、家にとっておかないことが重要です。
困ったこと、わからないことは医師や薬剤師に相談しましょう。

日頃から感染症を予防しましょう
感染症を予防することで、抗菌薬の使用を減らし、薬剤耐性の予防にもつながります。
01.手洗い
汚れが残りやすいところ(つめの間や指と指の間)を意識して、石鹸と水でよく洗いましょう。アルコール性の手指消毒剤も有効です。

02.咳エチケット
咳やくしゃみのしぶきが飛ばないようにマスクをきちんとつけましょう。マスクがない時はハンカチや袖の内側で口や鼻を覆いましょう。

03.ワクチン接種
咳感染症には、ワクチンで予防できるものがあります。

抗菌薬の適正使用にむけた被保険者向けリーフレット
保険者が被保険者等に抗菌薬の適正使用について効果的に周知・啓発できるよう、リーフレットを作成しました。
ご利用の際に、PDF1ページ目下部に保険者名を変更できるようになっておりますので、ご自由に入力してご活用ください。
※加工・編集はご遠慮ください。
リンクバナー集
抗菌薬や薬剤耐性についての効果的な周知・啓発に役立てるため、リンク用バナーを作成しました。
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